作品紹介
【監督】フランソワ・オゾン
【出演】ドゥニ・メノーシェ/イザベル・アジャーニ/ハリル・ベン・ガルビア/ステファン・クレポン/ハンナ・シグラ/アマント・オディアール/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 ピーター・フォン・カントは、名声を得た映画監督。恋人と別れて落ち込んでいたところに、大女優シドニーがアミールという美青年を連れてくる。
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言動をみて内容を感じていく作品
フランソワ・オゾン監督は、フランスの映画監督で、1996年「サマードレス」で映画監督デビューをしています。2000年『焼け石に水』で注目され、2002『8人の女たち』ではミュージカル風の映画として出演した8人の女優が2002年のベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞しています。その後、『スイミング・プール』『2重螺旋の恋人』など、こだわりのある作風の作品を制作し、コンスタントに作品が用意されつつも、内容は非常に興味深い作品の多い監督です。
ドゥニ・メノーシェは、フランスの俳優で、2003年理学療法士のキャリアから転身し、俳優デビューをしています。2003年「トレジャーハンターシリーズ」に出演後、テレビ映画を経て、2009年「イングロリアス・バスターズ」で知られるようになります。2013年「すべてを失う前に」で第86回アカデミー賞短編映画賞ノミネートされ、「アサシンクリード」「モーリタニアン 黒塗りの記録」「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」などに出演しています。
本作は、1972年の西ドイツ映画『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』のリメイクとなっており、登場人物の性別等変更がされています。
フランソワ・オゾン監督によるファスビンダーの戯曲の映画化は、2000年「焼け石に水」以降2度目となります。
物語は、名声を得ていた映画監督が、友人の大女優の連れてきた美青年に心を奪われ、共同生活をしていくストーリーです。
序盤は、時代は1972年、とある映画監督の自宅の寝室から物語が始まります。
使用人 カールが色々と世話をする生活ではありますが、シドニーが訪れたことで美青年のアミールと出会います。
ひと目で次回作のキャスティングにアレンジをし、アミールに惚れ込んでいきます。
同性愛という感触とは違い、若き才能と美貌に惚れ込んでいるところがあり、序盤ではアミールを目にかけているというところで描かれていきます。
その惚れ込んでいく流れはちょっとわかりにくいですが、表現では伝わらない魅力からくるものなのかと思います。
演技力やルックスで非凡さを見出したところからいきなりベッドで横たわるシーンとなりますが、本作は、フランソワ・オゾン監督の映画なので、エロティシズムというよりも、作風と思うのが良いです。
「多分、あなたをイラツカせるかも」
使用人の カールは、黙々とピーターの世話をしますが、同時にアミールについてもなにか思うところがあるように見えますが、何も行動をおこさないところがまたフランソワ・オゾン監督っぽい感じもします。
あくまで、アミールとピーターのドラマが描かれていくことで、物語が進みますが、アミール事態が徐々にピーターを操るような感じになってきます。
大きな出来事やドラマティックなところはなく、淡々と進みながらも、2人の関係性が描かれていく、序盤で口にしたアミールの言葉が徐々にみえてきます。
中盤以降で2人が衝突し始めますが、カールが意外とキーマンのように見えてきます。2人が争っているときも見守る感じのカールであり、3人の言い表せない感情で物語が進んでいきます。
劇的な物語ではないので、多少退屈なところもありますが、愛情が変わっていくところが本作の描きたかったところであるようにお思います。
登場人物がほとんどいないので、内容は見失うことはないのですが、言動をみて内容を感じていく作品でもあります。