【日本映画】「春に散る(2023)」を観ての感想・レビュー

【監督】
【出演】/坂東龍汰/松浦慎一郎/尚玄/奥野瑛太/
【個人的評価】★★★☆☆

【あらすじ】主人公 広岡仁一は、過去に不公平な判定で負けたことをきっかけに渡米した元ボクサー。同じような不公平な判定で心が折れていたボクサー 黒木翔吾と出会ったことで再び挑戦をしていく。

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ボクシング映画の一つの終着点とも言える良い演出

瀬々敬久監督は、学生時代に自主映画制作を行い、ポルノ映画を制作をしながらも近年では話題作を制作するようになり、意欲的に映画制作を行なっている監督です。

佐藤浩市は、父親が三國連太郎でもあり、子供の頃から撮影所へ行き、役者という世界に触れていたことで、在学中の1980年に「続・続事件」に出演、翌年に「青春の門」で映画デビューして評価されています。その後、映画の脇役をこなしながら着々と評価され、安定した演技で定評があります。

横浜流星は、2014年「烈車戦隊トッキュウジャー」で注目され、様々な作品に出演する男優です。2017年『キセキ-あの日のソビト-』では、「グリーンボーイズ」のメンバーとしてCDデビューもしており、今後の活躍が期待されています。

物語は、不公平な判定で心が折れてしまった元ボクサーが、日本に40年ぶりに帰国し、そこで、同じような境遇のボクサーと出会い、再び挑戦していくストーリーです。

序盤から、飲み屋で飲んでいる広岡仁一が描かれ、そこで若者の集団の騒ぎに注意をするが、逆に絡まれてしまうものの、一瞬で全員を撃退します。

広岡仁一は、元ボクサーであることがわかり、日本に戻ってきたことがわかりますが、その帰国の理由は、のちのち明かされて行きます。

広岡仁一の過去の関わった人たちをもとに、再度ボクサーとして挑戦をしようとする 黒木翔吾の関わりあいもあり、徐々にボクシングのために賭ける人たちの物語へと変わっていきます。

土手でのトレーニングの布石はしっかりと観ておくと良いです。

「そうだよ、母親守りたくてボクシング始めたんだよ」

本作では、横浜流星は、役作りの一環として2023年6月にプロボクシングテストに合格しています。対するチャンピオンの窪田正孝もボクシングが趣味というところもあり、終盤の試合に関しては、非常に身のこなしが良いです。

「ボクシングってもんは、もっといいもんだろ」

原作は、2015年から朝日新聞で連載された沢木耕太郎の小説であります。

終盤、教わったカウンターを入れるところはとても良いです。むしろ、このタイミングで殴れるというのも俳優的にすごい反射神経なのかなぁと思います。お互いがボクシング経験者だからここまで熱い試合を描けているのかと思います。

「タオルなんかいれんなよ」

出演者が非常に豪華ではありながらも、その豪華さに頼るのではなく、ボクサーとトレーナーの物語として熱いところはあります。

序盤は物語の背景をしっかり描きつつ、中盤以降や、試合のシーンでは、ボクシング映画の一つの終着点とも言える良い演出だったと思います。

ラストシーンの解釈はみての通りですが、暗い印象ではなく、なにか道がひらけたような雰囲気があります。

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