【監督】山下敦弘
【脚本】宮藤官九郎
【出演】岡田将生/清原果耶/福室莉音/柊木陽太/加藤柚凪/羽野晶紀/加藤雅也(加藤昌也)/笑福亭笑瓶/松本妃代/朝井大智/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 ハジメは、郵便局で働く男性。彼は何をするにもワンテンポ早く、やっとこぎつけた花火大会のデートの約束をするも、目覚めると何故か翌日になっている現象に見舞われる。その謎は、ワンテンポ遅いレイカという女性が握っていた。
2時間映画で内容をざっくりまとめたというところしか感じないところが
山下敦弘監督は、学生時代から自主制作映画を撮影しており、1999年「どんてん生活」で長編映画監督デビューをし、その後、2005年「リンダリンダリンダ」での新境地で評価され、その後も、ドキュメンタリータッチの作風などで評判のある監督です。
岡田将生は、中学2年のときに原宿でスカウトされ、一旦は断るも、のちに芸能事務所に所属し、デビューしています。その後、2007年「アヒルと鴨のコインロッカー」で映画デビューをし、着々とキャリアを重ねています。2014年には、蜷川幸雄演出による舞台にも出演し、幅広い活動をしています。
清原果耶は、小学生の頃からクラシックバレエを習い、2014年に好奇心で受けたオーディションでグランプリを獲得し、モデルデビューをしています。「nicola」の専属モデルとして活躍後、2015年NHK連続テレビ小説『あさが来た』で女優デビューをし、2017年『3月のライオン』で映画にも初出演しています。歌手としても活動をしており、多彩なジャンルで活躍する女優です。
物語は、ワンテンポ早い男性とワンテンポ遅い女性が、その時間の動きの違いから、消えた一日をめぐるストーリーになっています。
序盤から、皇一(スメラギハジメ)の特殊なキャラクター性を説明するような流れで、不思議なキャラクターを描いていきます。1分早いという特殊なところは説明されればよくわかります。
もともとは、2020年「1秒先の彼女」という台湾映画ををベースにしたリメイク作品です。日本でのリメイクは、彼と彼女の立場を入れ替えたりと、アレンジも随所にされていますが、それはそれで良かったのかと思います。
「誰かの大切なひとを、あんなんって言うな」
レイカはハジメに対してなんらかの関係がありますが、詳しく説明されておらず、ハジメ自体は、ストリートミュージシャンの桜子とのデートにこぎつけたことで、浮かれていますが、実際には、騙されている感があり、その問題が後半の流れとなります。
中盤以降は、レイカを中心に物語が描かれますが、レイカ自体の身の回りに起こることも、ちょっと謎なできことが起こります。
そこから、レイカとハジメの出会いへと遡り、今までの伏線を回収していくことになります。
脚本は、宮藤官九郎となるのですが、木更津キャッツアイのような、本筋の物語とその裏で起こっていたことを回収していく流れです。
物語自体は特にテンポも悪いわけではなく、サクサク観られる作品ではありますが、
消えてしまった一日に何があったのかをめぐる物語というわけではなく、時間のズレの問題というよりも、2人の関係を紐解きつつも描かれていくストーリーです。
宮藤官九郎脚本的には特に画期的な要素はなく、なんとなく、ネタの投げっぱなし感もあるのですが、そこそこにまとまっているので、そこそこには楽しめますが、そこそこ以上の内容もない印象があります。
伏線が見事に繋がっていくという物語は、ある種観ていて面白く感じるテイストがありますが、伏線ありきで、とりあえず回収していますという作品も多く、本作も必然性があった流れや経緯を感じられないので、2時間映画で内容をざっくりまとめたというところしか感じないところがあります。
駄作とまでは言わないのですが、伏線やネタにキレがないところに関しては、宮藤官九郎脚本を期待して鑑賞しないほうが良いです。あくまで、原作映画が存在したリメイク作品ではあります。