【日本映画】「零落(2023)」★★★★☆【感想・レビュー】


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作品紹介

【監督】
【原作】
【出演】/趣里/MEGUMI//永積崇/信江勇//安達祐実/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 深澤は、8年間連載した漫画が完結した元売れっ子の漫画家。次作のアイデアが出ず、苦労をするが、ある時、ミステリアスな女性 ちふゆに出会う。

本作の最も魅力となるのは、ちふゆの存在感

竹中直人監督は、学生時代から8ミリ映画の制作を行っており、その後、コメディアンとして活動を開始し「笑いながら怒る人」は代表ネタとなっています。1991年『無能の人』で映画監督デビューをしており、主演としても出演しています。その後、「普通の人々」「119」「東京日和」等を監督しています。

は、高校時代よりモデルとして活動をし、2001年「時の香り~リメンバー・ミー」で俳優デビューをしています。2012年には「サクライロ」で監督デビューをしており、2017年「blank13」では、第20回上海国際映画祭でアジア新人賞部門最優秀監督賞を受賞しています。

趣里は、父親が、母親が伊藤蘭であり、幼いころからバレエを習ってきたが、15歳のときにアキレス腱断裂となり、バレリーナから、俳優の道を進みます。2011年『3年B組金八先生ファイナル〜「最後の贈る言葉」4時間SP』で女優デビューをし、その後も舞台やテレビなどで活躍をしています。2018年『生きてるだけで、愛。』で主演を演じ、高い評価を得ています。

原作は、浅野いにお の漫画となり、全1巻で完結している作品です。

物語は、元売れっ子漫画家が、次回作の着手ができず、うまく行かない日々が続いているなか、不思議な女性と出会ったことで、色々とかわっていくストーリーです。

序盤から主人公 深澤の独白から始まり、とある女性のことを語ります。首を締めるのが好きというところは、ちょっとドキッとしますが、こういう人が稀にいるのだというのはわかります。

10年以上前に出会った女性のことを語る序盤ですが、そこからタイトルとなり、深澤の過去の背景がよく分かる感じとなっています。

かつてはベストセラーの漫画を書いていた深澤ですが、連載終了後に、無気力感と自分自身の理想を思い、創作活動を一旦休止してしまいます。

「その大切な作家さんとの時間抜いたら、残りは?」

編集者の妻ともすれ違いとなり、深澤自身の中での葛藤と苦悩で物語が進んでいきます。今までアシスタントととして手伝っていた人とも、漫画制作がストップともなり、一時解散となります。

「はぁ?謝られても困るんですよ、仕事舐めてんじゃないですか?」

それまでの仕事の仕方を見ていると、どう見ても火の玉剛速球でお返ししたい感じはします。漫画のアシスタントってなんのために仕事しているのか、非常にモヤモヤします。

行き詰まった深澤は、日々を無軌道に暮らし、どんどん落ちていきます。本作の題名の「零落」とは、木々の葉が落ち枯れ朽ちていくことでもあり、落ちぶれていくさまを示しています。

そんな中で、出会ったデルヘリ嬢のちふゆに深澤は癒やされ、なんとなくこころの拠り所となりますが、この ちふゆを演じているのが、趣里となります。

どちらかといえば、特徴的な顔をしているところもあり、一瞬誰かわからない印象があるショートカットの雰囲気のデルヘリ嬢役ですが、意外とミステリアスな感じもあり、良いです。

その後、ちふゆの故郷に行く流れとなりますが、このときの雰囲気はまた異なる印象があり、ミステリアスな感じが深まるところです。

「漫画家だからって、漫画を愛してるって前提で話すのやめてもらえませんか?」

本作の主人公は、斎藤工演じる深澤であり、主人公視点で物語が描かれていきますが、強烈な印象を主人公に残したちふゆの存在で変わっていくところが描かれ、深澤自体は求めていたものの後押しをしてくれたところになります。

「君は、何もわかってない・・・」

失望した主人公が、無気力になりながらも再生していく物語であり、再起していくところとなりますが、実際には、深澤自体は何も変わってないところもあり、この苦悩を抱えたまま、この先も漫画を描いて行くのかとは思います。

本作の最も魅力となるのは、ちふゆの存在感であり、そのミステリアスなところは非常に少ない登場シーンながら、むしろちふゆを観るための作品だったとも言えます。

竹中直人監督作品としては、「無能の人」「東京日和」「連弾」のように、人物の内面をサラッと描きながら、力強いメッセージを残すところはさすがの演出力というところもあります。

予告編

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