【監督】堀江貴大
【出演】黒木華/柄本佑/金子大地/奈緒/風吹ジュン/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】佐和子と俊夫はともに漫画家として活動している夫婦。漫画の編集担当の千佳と俊夫は不倫関係にあり、ある日、佐和子の作品で、似たような不倫関係を描いた作品を描き出す。佐和子は、自動車教習所に通い出し、そこの教官と不倫関係となる。そして、漫画にもその関係が描き出されはじめる。
黒木華の雰囲気もいつもとは違う「何を考えているのかわからない」というところが、これまた良いところ
・堀江貴大監督は、学生時代の修了制作として、2015年『いたくても いたくても』で評価されます。その後、2016年短編映画『はなくじらちち』を制作し、2017年『ANIMAを撃て!』で長編映画監督デビューをしています。
・黒木華は、演劇を学び、NODA・MAP公演『ザ・キャラクター』にアンサンブルとして初舞台に立ってデビュー後、映画にも出演するようになり、第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞し、日本人女優では史上四人目となります。
・柄本佑は、父親が柄本明でもあり、高校在学中に応募したオーディションに合格し、俳優活動を開始します。2003年「美しい夏キリシマ」で映画初出演にして初主演となり、数々の作品に出演しています。2018年『きみの鳥はうたえる』が評価され、第92回キネマ旬報ベスト・テンと第73回毎日映画コンクールで主演男優賞を受賞しています。
・奈緒は、高校1年のときに地元福岡でスカウトされ、芸能活動を開始しています。2013年にテレビドラマに初出演し、2016年『雨女』で映画初出演をしています。2017年までは、本田なおで活動をしていましたが、姓名判断より本名の「奈緒」と芸名を変更して以来、仕事が増えたとのことです。2019年『のの湯』では、テレビドラマ初主演を努めています。尊敬する女優は田中裕子。
・本作は、「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2018」の準グランプリ受賞作品の映画化です。
・物語は、夫婦揃って漫画家の2人が、ある作品で不倫関係となる作品を発表するが、実際にこの夫婦に起こっている不倫関係と類似した作品となっていたことで、夫がその状況に戸惑うストーリーです。
・序盤は、佐和子と俊夫の夫婦関係が描かれ、夫はスランプ状態であることがわかります。
・そんなさなかに、妻の母が事故に逢い、実家に向かいます。
・山梨の義母の実家でしばらく暮らし始めるが、妻が自動車教習所に通い、漫画の編集担当は、実家に訪れるようになります。
・いわゆる夫婦がお互いに不倫をしている状況となりますが、夫の視点で物語が描かれ、夫の不倫がバレているのかそうでないのかで、妻の様子を伺いながら日々を過ごします。
・妻 佐和子の感情と視点はあまり詳しく描かないようにされているので、この点が何となくホラー感を感じます。
・黒木華が、そのあたりをやんわりとそつなく演じているところもあり、掴みどころのないところがかえって底知れないなにかを秘めている感じがあり、面白いです。
・「もう遅いよ、俊夫くん、キライだ」
・おたがいに不倫をしていながらも、その行動がすべて漫画にえがかれていくところに、現実なのか創作なのかわからないところがあり、この境界線のあいまいなところが本作の魅力です。
・「これボツだねぇ~」
・「私の隣に座っていただけませんか?」
・「2人で漫画描いてる~」
・佐和子と俊夫の関係性が本作のキーとなりますが、佐和子の感情はほぼ描かれないので、その点が面白いところになります。
・「うそぉん」
・シリアスな展開のように見えながらも、柄本佑の自身がありそうで、まったくないこのうろたえさ加減が好演となっており、絶妙の映画の空気感となっているように思えます。
・黒木華の雰囲気もいつもとは違う「何を考えているのかわからない」というところが、これまた良いところです。