【監督】リー・ワネル
【出演】エリザベス・モス/オリヴァー・ジャクソン=コーエン/オルディス・ホッジ/ストーム・リード/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公 セシリアは、天才科学者 エイドリアンとともに生活をしていたが、異常な束縛から自宅から脱出をする。その影響で、エイドリアンは自殺をしてしまうが、セシリアの周囲で不可解な現象が起こり、エイドリアンの仕業ではないかと疑い始める。
いままであった「透明人間」というモチーフを違った視点から描いた作品
・リー・ワネル監督は、俳優兼演出家であり、2004年「マトリックス リローデッド」に出演し、その後様々な作品に出演しています。2004年「Saw」の脚本を手掛け、以降続編にも関わっています。2015年「インシディアス 序章」で初監督をし、以降監督業や俳優業と多彩な才能を発揮しています。
・エリザベス・モスは、1990年頃より、TVやCMでの活動を始め、1994年「詐欺/イマジナリークライム」で長編映画デビューをしています。1999年『17歳のカルテ』でアンジェリーナ・ジョリー、ウィノナ・ライダーと共演をしており、女優としての幅を広げています。
・本作はH・G・ウェルズが1897年に発表した小説『透明人間』を原作としており、1933年に公開された映画『透明人間』を現代風にリブートした作品となっています。
・物語は、光学技術における天才科学者の束縛から逃げた主人公が、その科学者に追われている疑いを感じはじめ、透明人間ではないかと調べ始めるストーリーです。
・序盤から、セシリアが科学者エイドリアンから逃げる準備をしていく姿が描かれます。
・このときからすでに、緊張感が張り詰めたような感じがします。
・前半は、ホラー要素も感じつつ、誰もいない場所で物が動くところは、ちょっと恐怖感を感じます。
・その展開があるからこそ、後々の展開への恐怖感と現実感の融合されたなんとも言えないスリラー感があります。
・また、誰もいない空間が映し出されながらも、いかにも「そこにいるんじゃないか?」と思わせるところの演出も巧く、思わせ振りなところが効果的に演出されています。
・いままであった透明人間モノの作品と比べて、実際にあり得るような描き方もされており、消えてしまう技術という点では、実現可能にも思えるところがあります。
・気になるのは、食事や排泄ではあるのですが、本作のような透明人間ギミックであれば、特に問題なく、解決できそうです。ただし、じっとその場所にとどまっているという点を考えると、かなり非現実的な印象もあります。
・あとは、足音や呼吸などの音の問題もあり、この点では、多少ツッコミどころは感じてしまいますが、これは、透明人間の設定上、常について回る点かもしれません。
・終盤の展開は序盤の伏線もしっかり回収されており、その上での斜め上の展開をみせてくれるところには、良質なスリラー作品と思います。
・いままであった「透明人間」というモチーフを違った視点から描いた作品でもあり、古典的なストーリーを見事に現代風に解釈している点を見てもらいたいところになります。