【監督】マーク・ウェブ
【出演】ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ズーイー・デシャネル/ジェフリー・エアンド/マシュー・グレイ・ガブラー/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公 トムは、建築家を目指しながらも、グリーティングカード会社で働く青年。ある日、社長の秘書として入社したサマーに一目惚れをする。そのトムとサマーとの500日間を描いたラブストーリーではない物語。
「あらかじめ言っておくが、これはラブストーリーではない」という言葉も本作に似合っている
・マーク・ウェブ監督は、ニューヨークで映画を学び、その後、ミュージックビデオ等の監督を務めます。2009年「(500)日のサマー 」で長編映画初監督をし、高い評価を得ます。その後は、「アメイジング・スパイダーマン 」「gifted/ギフテッド」など多彩な作品をつくり続けています。
・ジョセフ・ゴードン=レヴィットは、子役として活躍してきており、1992年『リバー・ランズ・スルー・イット』で映画デビューをしています。その後、2009年『(500)日のサマー』でゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされています。2013年『ドン・ジョン』では初監督を務めています。2013年「風立ちぬ」では、主人公 堀越二郎のアメリカ版の声の吹き替えとしても演技をしています。
・ズーイー・デシャネルは、1999年『マムフォード先生』で映画デビューをし、同年『あの頃ペニー・レインと』で注目されます。2003年『All the Real Girls』でマール・デル・プラタ国際映画祭最優秀女優賞を受賞しています。
・物語は、建築家志望ながらも、グリーティングカード会社に勤めている主人公が、ある日出会った社長秘書のサマーとの500日間の出来事を描いたストーリーです。
・「あらかじめ言っておくが、これはラブストーリーではない」
・序盤から、本作の趣旨を説明してくれます。このことは本作の難解なようにみえて、非常にシンプルな物語とも気づかせてくれます。
・サマーは、普通の女性のように見えて、運命やめぐりあいというものを信じてはいないようで、そのことで、トムとの考えの違いがあります。
・シーンごとに、その日数がカウントされます。日数が前後したりするしますが、サマーとトムの関係性も、髪型や風貌でわかるようになっています。
・「じゃあ、私は何を見逃しているの?」
・要所要所かかる音楽はとても心地よく、非常に良い曲と思います。この映画が好きなのであれば、サウンドトラックも購入するのがおすすめかもしれません。
・公園で「ペニス」と叫ぶ遊びや、ビートルズでは一番リンゴ・スターが好きであるなど、サマーの魅力はつかみづらいところもありながらも、それが彼女の魅力でもあり、一瞬寄せ付けない感がありますが、初回、本作を観る場合はそれでよいです。
・中盤で、トムのサマーに対しての気持ちが変わってしまい、きっかけは時間軸が前後している中で、しっかりと描かれていますが、そのことの意味を考えると、トムに問題があったのかとも思えます。
・「きみはサマーと違う」
・本作の巧妙なところは、主人公という見方をするよりも、2人の関係を見る傍観者として鑑賞するほうが、本作を良く理解できます。
・サマーに招かれたパーティの演出も巧妙で、理想と現実が対比されながら、演出されます。これはトムの視点が強いからであり、この視点をちょっとズラすことで、本作をとても理解できる演出でもあります。
・「自分の気持ちぐらい自分で言えって。」
・「愛ってなに、しってる?」
・「なんの意味もない」
・440日を過ぎてから、トムの行動が変わり始めます。このときにトムの考えも変わっているわけで、運命の出会いや真実の愛ということについても、暗に意味合いを含ませているところがあります。
・「海にはたくさんの魚がいる」
・妹が意外と真意を指摘していて、その言葉や言動に実はメッセージがあるようにも思えます。
・映画「卒業」で、サマーが号泣をしてしまうシーンがあります。その意味も大きな伏線となっており、この有名なラストシーンの意味合いは知っておくほうが良いです。
・「ぼくは、一生理解できない」
・「あなたの相手は、わたしじゃなかっただけ」
・「よくみてなかったのね」
・トムの好きなベンチの場所は、のちのちサマーの好きな場所にもなっています。このこともポイントでもあります。
・このベンチのシーンでは、多くの答え合わせができるとも言えます。考え方とすれ違うところがありますが、それが、本作の主題でもあります。
・最後に登場する人物の名前に、「ハッ」とさせられるところがあり、本作の巧いところではあります。
・主人公はトムではありますが、トムに感情移入する作品ではなく、トムとサマーの過ごした500日を通じて、その心の揺れ動きをみる作品です。
・実際、サマーの視点でみると、何度もサマーはチャンスを与えているところがわかります。映画「卒業」で号泣した意味もここにあるとも言えます。
・運命と思い諦めてしまうことと、それを信じずに自らの意思で切り開く違いもあり、「あらかじめ言っておくが、これはラブストーリーではない」という言葉も本作に似合っているのであります。