【監督】ダニエレ・ルケッティ
【出演】ピエールフランチェスコ・ディリベルト/トニー・エドゥアルト/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 パオロは、シチリア島パレルモで暮らす父親。ある日、いつも通る道で交通事故に遭って死んでしまう。突然の死に、天国の入口で抗議をしたところ計算ミスがあり、92分だけ寿命を貰える。
94分という時間で92分のロスタイムを描いた内容の良作
・ダニエレ・ルケッティ監督は、1983年「僕のビアンカ」でナンニ・モレッティ監督の助監督をつとめ、 1988年「It’s Happening Tomorrow」で長編映画監督デビューをしています。その後多数の映画を制作し、2015年「ローマ法王になる日まで」でも高い評価を得ています。
・ピエールフランチェスコ・ディリベルトは、イタリアの俳優で、脚本家や監督、司会者等多彩な活動しています。2013年『マフィアは夏にしか殺らない』で映画監督デビューをしています。
・物語は、不慮の事故によって死んでしまった主人公が、死亡までの時間に誤差があり、92分の時間をもらえる。その時間で、やり残したことをしようとするストーリーです。
・序盤から、バイク事故で他界してしまう主人公が描かれますが、こういう死に方はやはり無念ではあります。
・天国の入り口で、パオロは余命の引き伸ばしに機会を得ますが、この天国の入口のシーンは妙に天国感がなくて、この時点で、コメディ感を感じさせます。
・なのですが、本作はコメディと言うよりも、やはり、ワンモアライフと言う名の物語です。
・92分間というロスタイムの中で、やり残したことを行おうとするパオロですが、意外とモテ男でもあり、結構ひどい奴感もわかります。
・というか、女性関係がかなり無茶苦茶でもあり、その点と、時間軸が前後して、回想を織り交ぜて展開されるため、パオロの自己中心的な面がかなりみられます。
・物語の中心は、パオロの視点で描かれ、感情の移入する先が、パオロとなってしまうところに、この人物を大目に見てやれるかで、見方が変わってくるのかもしれません。
・哲学的な言葉も出てくることもあり、残された時間をどう生きるかという命題を投げつけられたような気もします。
・主人公がここまで俗物的なキャラじゃなかったら、重苦しくて、観られない作品だったのかもしれませんが、この主人公の「決していい人ではないけど、悪い人でもない」というところがよくできていて、説教臭い要素が、さほどうるさく見えない効果になっていると思われます。
・オチも重要ではありますが、そのオチに至るまで経緯を含めてみると、しっかりとしたメッセージ性があり、主人公の振る舞いだけがコメディ感であり、実はしっかりとしたメッセージ性のある物語だとわかります。
・94分という時間で92分のロスタイムを描いた内容の良作です。