【監督】新海誠
【出演】醍醐虎汰朗/森七菜/小栗旬/本田翼/倍賞千恵子/吉柳咲良/平泉成/梶裕貴/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 帆高は離島から家出をし東京にやってきた高校生。生活はすぐに行き詰まるも、オカルト雑誌にライターとしての仕事に就く。そこで100%晴れにする人物のことを調査するうちに陽菜という少女に出会う。
・新海誠監督は、子供の頃からSFや宇宙に関する物語に興味があり、日本ファルコムでゲーム製作に携わりながらも、自作のアニメーションを制作し、2002年「ほしのこえ」でアニメ監督デビューをしています。以降、コンスタントに作品を作り続けているアニメーション監督です。
・醍醐虎汰朗は、中学でサッカー部を引退後、芸能界に入り、映画やテレビドラマで活躍しています。本作では、初の声優をこなしています。
・森七菜は、中学3年の時にスカウトされネスカフェのWebCMに出演後、2017年「東京ヴァンパイアホテル」で女優デビューをし、その後、2019年、岩井俊二監督作品「ラストレター」に出演し主題歌「カエルノウタ」を歌い歌手としても活躍しています。
・物語は、家出をした高校生が上京してきて就いた仕事のライター業で、100%晴れにする不思議な能力を持った子と出会うストーリーです。
・キャッチコピーは「これは、僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての物語」
・序盤は、帆高が東京でインターネットカフェで生活をしながら、仕事を探していますが、なぜこのような生活をしているのかはあまり説明されません。
・貧困な状況と先行きの見えないところに主人公にちょっと共感できないところもあります。
・なぜこのような状況になったのかがしっかりと説明されないところがさらにこの点に引っかかるところがあります。
・とは言え、そういう先行き不透明のところは現在の日本の若者に象徴する不安なところでもあり、社会的メッセージを込めているところがあるのかもしれません。
・怪しげなオカルト誌のライターとしてなんとか食いつないでいけるようになりますが、これもまた仕事を選べないところを表しているとも言え、東京を描くことの多い新海誠作品の中でも、どちらかといえば、生きにくい街という印象を与えています。
・その中で、陽菜と出会うことで、東京での生活に安定感が出てきますが、この時点で、ちょっとしたことに気が付き始めるかとおもいます。
・本作は、これはやはりファンタジーなわけで、リアルは背景が描かれる新海誠作品ですが、リアルな東京を描きつつも、これはこれでファンタジーなのだと思います。
・「君の名は」もファンタジーではありましたが、入れ替わっているという設定と主人公は意外とリア充というところ以外は、リアルなところを表現しようとしていた気もします。
・背景や街の描写がリアルでありながら、描いているところは、現実感のない物語構成でもあり、ここの違和感に新海誠作品の魅力があるのかもしれません。
・「言の葉の庭」以降の作品では、東京の現実の街が舞台となっていますが、いずれも現実を描こうとしていない点があります。
・現実を描いていないところではありますが、社会性メッセージが込められているところもあり、リアルとファンタジーの絶妙なバランス感があるのかと思います。
・挿入歌が複数ありますが、この入り方はやはり上手いと思うわけです。まるでプロモーションビデオのようなところもあり、このあたりはエンタメ感も十分に兼ね備えています。
・中だるみする点も少なく、物語もわかりやすいので、素直に気軽に見られる作品ではあります。
・終盤の些細な一言ですが、3年という期間は相当なことを言っているよなぁとは思うのです。
・これを考えると、やはりファンタジーであると思うのです。
・「世界なんてさ、どうせ、もともと狂ってんだから」
・そしてこれは、素直に小さな世界のラブファンタジーなので、それを踏まえてどっぷりと見てもらえれば良いのかと思います。
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