【日本映画】「わたしは光をにぎっている〔2019〕」★★★☆☆【感想・レビュー】

作品紹介

【監督】
【出演】知/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 澪は、祖母の入院を期に上京し、都会で生活するようになる。亡き父の親友が営む銭湯で居候をしながら、銭湯を手伝うも、区画整理のために銭湯も取り壊されてしまう危機となる。

メリハリのある物語ではないので、読解力が必要になりますが、じっくり見ていくことで、伝わってくるものは必ずあります

中川龍太郎監督は、高校在学中に詩集を出版、その後大学では映画製作を始め、2012年「Calling」でボストン国際映画祭の最優秀撮影賞受賞する。その後、『愛の小さな歴史』『走れ、絶望に追いつかれない速さで』など、世界的に評価される作品を送り出しています。

松本穂香は、オーディションに合格し芸能事務所に所属し、2015年にロッテとのコラボレーション作品の『LOTTE SWEET FILMS』の第2弾「MY NAME」で女優デビュー、同年の『風に立つライオン』で長編映画デビューをしており、本作は長編初主演となります。

物語は、地方から上京した主人公が父の友人の銭湯を手伝ううちに、さまざまな人と出会い、銭湯の廃業を前にして現実向き合っていくストーリーとなっています。

序盤は上京してきた澪が父親の知人が営む銭湯に赴き生活を始めるところから始まります。

父が他界、祖母が入院という境遇で、生活の場を東京に移してきたところになりますが、東京の下町で、銭湯を中心とした近隣の住人との関わり合いが描かれていきます。

澪は、新しい生活の場として東京の銭湯で日々を過ごしていきますが、淡々とした進行でもあり、東京の下町の風情と、光によって変化する美しい映像で、その生活風景が描かれていきます。

澪の成長物語でもありますが、大きな事件が起こるほどでもなく、些細な事柄がつながっていき、澪の物語というよりも、街そのものの流れを描いていきます。

そのため、中盤までは、ある種、群像劇のような印象も受けます。

銭湯を廃業してしまうという展開となってから、演出に変化が起こり始め、いままで描いていた街という要素に違う一面が見え始めます。

ドキュメンタリーのような映像は、心に刺さるような印象と演出であり、このために中盤までの物語があったのかと、「ハッ」と點せられます。

「自分に出来ることから始めなさい」

非常に些細な見方もできますが、明確にメッセージ性を突いてくるというよりも、状況に訴えてくる「なにか」を感じ取れるかどうかで本作の意味がわかるところなのかもしれません。

物事には始まりも、終わりもあり、諦めずに前に進むことができる。そんな要素が詰め込まれているように感じます。

「わたしは光をにぎっている」と非常に抽象的な題名ですが、この題名こそが物語の掴めそうで掴めない輪郭を示しているように思います。

メリハリのある物語ではないので、読解力が必要になりますが、じっくり見ていくことで、伝わってくるものは必ずあります。そんな映画です。

予告編

わたしは光をにぎっている

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