作品紹介
【監督】三池崇史
【出演】窪田正孝／大森南朋／染谷将太／小西桜子／ベッキー／三浦貴大／藤岡麻美／顔正國／段釣豪／矢島舞美／出合正幸／村上淳／滝藤賢一／ベンガル／塩見三省／内野聖陽／
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公 葛城レオは、ボクサーとして負けるはずのない相手との試合でOKI負けをしてしまう。病院での診療後、ガンと診断され、余命を知る。そのことで、自暴自棄となるが、男から逃げていた少女モニカを助けたことで、ヤクザとマフィア、警察官から追われるようになる。
三池映画に免疫のある人はとても楽しめる映画
三池崇史監督は、今村昌平の私塾で映画を学ぶが、大師匠の大庭秀雄が最初の授業で書いた「脚本とは芸術である」を聞き挫折し、アルバイトに明け暮れるが、先輩から頼まれて助監督を務めるようになり、今村昌平、恩地日出夫、野田幸男、西村潔、井上梅次、舛田利雄、村川透らの現場に就いた後、1991年『突風！ミニパト隊』で監督デビューをしています。ジャンルが幅広く、短期間で多作であり、それでもなお、独特のスタイルがあったために、クエンティン・タランティーノを始めとした海外の監督に評価され、ジャンルを問わず「仕事は来たもん順で受ける」「映像化可能であれば、まず何でもやってみる」という作家性のある監督です。
窪田正孝は、オーディションに合格し、芸能界入りをし、2006年『チェケラッチョ!! in TOKYO』でテレビ初主演でデビューしています。その後、2008年『ケータイ捜査官7』で主役となり、様々な監督と仕事をし、徐々に評価を上げ、テレビや映画と活躍している俳優です。
大森南朋は、父親に舞踏家の麿赤兒で兄が映画監督の大森立嗣の俳優です。1993年『サザン・ウィンズ 日本編 トウキョウゲーム』で映画デビューをし、2001年「殺し屋1」で主演を演じています。その後、様々な役を演じ、映画やテレビで、主演も脇役もこなす独特な雰囲気のある俳優です。
染谷将太は、子役から役者としてデビューしており、2001年『STACY』で映画に初出演、2009年『パンドラの匣』で初主演を演じています。映画を主軸として役者をしており、普通な人のように見えて意外と幅広い振れ幅のある演技ができる俳優です。なお、2015年1月1日に菊地凛子と結婚しています。
本作は、三池監督にとって自身初のラブストーリーとなるオリジナル作品で、『ケータイ捜査官7』以来、三池監督と窪田正孝にによる作品となっています。
2019年第72回カンヌ国際映画祭「監督週間」選出作品となっており、「First Love」の英題が付けられています。
物語は、余命宣告された主人公のボクサーが、ひょんなことから少女をたすけたことで、ヤクザや警察から追われることになる巻き込まれ型三池風アクションな映画です。
序盤は、主人公 葛城レオのボクサーシーンが描かれ、OKされてしまいます。
その後、病院でガン宣告され、余命わずかということがわかり、自暴自棄となって、歌舞伎町を歩いているところで、モニカと出会い、追いかけていた大友を反射的に一発で殴り倒します。
ここまでで、概ねの物語が組み上がります。
その後、大友・加瀬・ジュリ・権藤と様々なキャラクターが描かれ、徐々にそのキャラクターたちの動きが集約していきます。
大森南朋の演技が妙に「アレッ？」っていう感じですが、染谷将太と窪田正孝のキレっぷりがトンでいるので、この「トビかた」がある意味、三池作品だよなあと感じるところです。
ベッキーも色々とトンでいますが、こちらはやはり顔芸だったりするので、ちょっと違うかなぁと思います。
これはオフビートな演技とたっぷり演技の違いなのかなぁと思います。
「普通一人暮らしだろ、こういう場合」
「今日何人目だよ」
「んざけんな、状況が違ってんだ、少しは手ェ貸せよ、おい、五分五分だろうが。」
このあたりの染谷将太は最高です。あまりこういうキレキャラを演じることは少ないのですが、独特なキレ方をするので、ちょっとおもしろいです。
やはり演技という範疇を超えている印象があるのがツボです。
後半では、主人公の真相が明らかになってきますが、このあたりから、物語が崩壊する感じもまさしく三池映画的でもあり、このテイストが合わない人は、今後、三池監督作品を見る必要はないと思います。
「やるしかねえだろ、日本車信じろよ、行け。」
この展開も三池演出の良いところでもある気がします。低予算ながらも面白くつくる方法をよく知っている点と、観ている側の期待を裏切らず、斜め上の魅せ方をしてくるところはゾクゾクします。
物語としては、ラブストーリーを描いた作品ですが、普通のラブストーリーではなく、一癖も二癖もある、三池監督流のラブストーリーで、三池映画に免疫のある人はとても楽しめる映画です。
予告編
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