【日本映画】「ある船頭の話〔2019〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【撮影】
【出演】/村上虹郎/川島鈴遥/伊原剛志//村上淳//永瀬正敏//くっきー/河本準一
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 トイチは、川岸の小屋に暮らし、川渡しの船頭をしていました。ある日、1人の少女が川から流れてきたところを助けたことで、トイチの人生が変わっていく。

ある船頭の話

キャスティングといい、設定といい、なかなか玄人な作品

・オダギリジョー監督は、2000年『仮面ライダークウガ』のオーディションで選ばれ、テレビデビューをしています。その後、2003年「アカルイミライ」で映画主演を果たし、カンヌ映画祭にも出品されています。『血と骨』『オペレッタ狸御殿』『メゾン・ド・ヒミコ』など多数の作品に出演し、評価されています。

・本作では、自身のオリジナル脚本でかつ、長編映画初監督作品となっています。

・柄本明は、家族の影響で俳優を目指すようになり、1974年に自由劇場に参加し、俳優活動を開始します。退団後、多数のテレビや映画に出演をし、1998年「カンゾー先生」や2004『座頭市』で評価され、独特な雰囲気を持ち味に活躍しています。

・村上虹郎は、父 村上淳、母 UAを持ち、2014年『2つ目の窓』で映画初出演で主演をしています。2015年『天使のナイフ』でテレビドラマ初主演をし、テレビや映画で活躍している俳優です。

・川島鈴遥は、2010年『特上カバチ!!』でドラマデビューをし、映画やテレビで活躍をしています。

・本作では、第34回高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞しています。

・物語は、川岸に住み、そこで川渡しとして生活をしている主人公が、橋の建設と、その地における営みのなかで、生きていく道を考えていくストーリーです。

・序盤から、船頭として川渡しをしていく主人公の生活が描かれます。

・一人で、あばら家のような小屋で川渡しを生業として生活をしていますが、過去になにかあったかのような印象もあります。

・川を渡る人々は、橋のない川を渡るためにトイチの船で川を渡っていきますが、意外とその頻度も多く、その割には、村の規模感がわからないところがあります。

・村から離れて暮らしているトイチとしては、妙に偏屈さを感じますが、柄本明が演じていることで、そのなにか意図があるようなところが見え隠れするところが、キャスティングの妙味かと思います。

・少女が川から流れ着いてくるところから、徐々に物語は動き始めますが、淡々とした独特な流れがあり、川の流れと同じように緩やかな展開が支配しています。

・物語の中心には「川」が置かれており、この川の流れとカメラワークが本作の特長的なところにもなります。

・中盤以降では、トイチと少女の過去が描かれてきますが、ココも川の流れのように急激な展開とはならず、あくまで船頭の物語として描かれていきます。

・最終的には、橋の完成とともに、とある決断がされていきますが、これもまた、川が支配しているかのような「流れ」が映画を物語っています。

・普通に観ればそういう映画なのですが、よくよく考えると、川周辺以外の描写がほとんどなく、また、あらゆる要素が抽象的に捉えることもでき、物語の構造上、色々な要素にメタファーが込められているような印象を受けます。

・古いものから新しいモノへの流れ、という受け取り方ができますが、その流れの中で、トイチと少女の存在もまた、その流れの一つであることに気づきます。

・美しい映像とゆったりとした演出で、しっかりと物語の骨格ができていますが、わかりにくい点や説明をあえて省いている要素があり、なかなか難易度の高い映画かもしれません。

・オダギリジョーの長編映画初監督作品ではありますが、キャスティングといい、設定といい、なかなか玄人な作品を創ってきたことで、次回作以降も期待できる監督作です。

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