【日本映画】「劇場 〔2020〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【原作】
【出演】/松岡茉優//大友律//浅香航大/

【個人的評価】

【あらすじ】主人公 永田は、中学時代の友人と立ち上げた劇団と脚本家と演出家を行っていた。前衛的な作風は酷評されており、劇団自体の運営がままならないまま、悩んでいたが、ある日同じスニーカーを履いた女性 沙希と出会い、2人の恋が始まる。沙希は自分の夢を重ねるかのように永田を応援するが、永田にはそれを期にますます演劇にのめり込んでいく。

劇場

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山﨑賢人, 松岡茉優, 寛一郎, 伊藤沙莉, 井口理
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壁にぶつかり、悩みながらも、何かに打ち込んでいた人には理解できるような作品

・行定勲監督は、もともとは、監督の助監督を努め、「GO」「世界の中心で、愛をさけぶ」「リバーズ・エッジ」と多彩で安定感のある作品を手がけています。

・山崎賢人は、中学生の頃にスカウトされ、雑誌のメンズモデルとして活躍、その後、2010年『熱海の捜査官』でテレビドラマデビューをし、2011年『管制塔』で映画初出演をしています。テレビや映画に多彩な才能で活躍している俳優です。

・松岡茉優は、8歳のときに妹がスカウトされ、その際に妹のついでにスカウトされます。2008年『おはスタ』のおはガールとして出演し、その後はドラマやテレビのホスト役など女優にとどまらない活躍をしていましたが、2007年『勝手にふるえてろ』で評価され、様々なジャンルで活躍しています。

・本作は、「火花」で芥川賞を受賞した又吉直樹の2作目となる小説が原作です。

・物語は、演劇を目指している主人公が、自分の描きたい作家性と、受け入れられない世間との間で思い悩みながらも、出会った女性との恋愛を描きながら、自らの行うべきことを探し続けるストーリーです。

・序盤は、主人公 永田と沙希の唐突な出会いからはじまり、ちょっと普通とは異なる受け答えする永田に惹かれながらも、その永田に自分自身を投影しようとする沙希が描かれます。

・主人公は、永田となり、その視点からの心の声の独白とともに物語が続きますので、わかりやすさはありますが、あまり起伏のあるストーリー展開ではありません。

・2人の出会いの頃から、沙希の包容力というところもあり、永田はその状況に甘えることになりますが、この部分でクズな人間のようなところが出てきます。

・松岡茉優のキャラクターは、やはり、普段の松岡茉優とはちょっと違い、頭が弱そうなところがありますが、これもまた魅力ではあります。

・が、沙希自体はそういうわけではなく、自分自身の信じているところもあり、現実と夢の間のギャップで、悩んでしまったところはあると思われます。

・実際に描かれてはいませんが、半同棲の生活の中で、永田が自堕落ながらも夢を前にして思い苦しんでいる状況を支えつつも、どこかで心が折れてしまっているところがあり、明確なタイミングは描かれないですが、明らかに心が砕かれたところがあったように思います。

・それでもなお、永田自体を支えているところには、なにか怖さすらも感じますが、それが見事な伏線ともなっている気がします。

・「いつまでもつだろうか?」

・「才能がないことを気づかれてしまうのが怖い」

・「一番会いたい人に会いに行く。 こんな当たり前のことがなんでできなかったんだろう

・そんな2人の時間も過ぎ、最終的に決断をしてしまうのですが、ここからの流れは観てもらうのが良いかと思います。

・この演出と構成はとても巧みなところであり、永田が描こうと思い悩んでいた劇団「おろか」の作品と、沙希との関係、そして永田自体の気持ちのまとめが素晴らしくできています。

・沙希ではないけれど、これは心を動かされるところはあり、やはり、演劇的手法の使い方と、物語の描き方が良かったのかと思います。

・このあとがどうなったとかではなく、この最後の演出のために仕掛けられた物語とも言え、永田視点の心の独白で進んでいた物語を、一瞬で沙希の視点に切り替えることで、クズでダメな2人の日々を沙希の視点で振り返ることができたのかと思います。

・実際に、壁にぶつかり、悩みながらも、何かに打ち込んでいた人には理解できるような作品ではあると思います。

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  • 作者:又吉直樹
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