【日本映画】「ひとよ 〔2019〕」を観ての感想・レビュー

【監督】白石和彌
【出演】/松岡茉優/音尾琢真/介/
【個人的評価】

【あらすじ】15年前に家庭内暴力の酷かった父親を殺した母親と、その3人の子供が、再び出会い人生をもう一度見直していく物語。

ひとよ

テーマは多少重いところがあるので、精神的に健康なときに見るのが良いかと思います

・監督の白石和彌は、助監督経験を経て、「ロストパラダイスイントーキョー」で長編デビューをし、その後、良作を作り続けている監督で、個人的に好きな監督の1人です。

・佐藤健は、高校生のときに原宿でスカウトされ、2006年『プリンセス・プリンセスD』で俳優デビュー後、2007年平成仮面ライダーシリーズ第8作『仮面ライダー電王』で主演を務めています。その後、映画や舞台に多数出演しており、2020年3月にはYouTube公式チャンネルを解説しています。

・鈴木亮平は、中学生のときに俳優を志し、大学で演劇サークルに入り、そこで役者になることを決意し、2006年テレビドラマ『レガッタ~君といた永遠~』で俳優デビューをしています。その後は、様々な役を演じ、2018年第57回NHK大河ドラマ『西郷どん』では、大河ドラマ初出演にして主演を演じています。

・松岡茉優は、8歳のときに妹がスカウトされ、その際に妹のついでにスカウトされます。2008年『おはスタ』のおはガールとして出演し、その後はドラマやテレビのホスト役など女優にとどまらない活躍をしていましたが、2007年『勝手にふるえてろ』で評価され、様々なジャンルで活躍しています。

・物語は、父親を殺してしまった母親が刑期を終え、再び出会った家族に中で起こるドラマです。

・題名の「ひとよ」とは、「一夜」という漢字であり、ここに意味するところは非常に様々な意味があります。

・序盤は、15年前の稲村家での事件後の行動が描かれ、母親が父親を轢き殺した告白から始まります。

・その事件から年数が経ち、3人の子供は成人しながらも、親の起こした事件を心に引きずったまま過ごしてきたことがわかります。

・そこで登場してくるのが、刑期を終えた母親ですが、過去を忘れ去ろうとしていた3人には、モヤモヤしたものが生まれ始めます。

・なんとも奥歯にモノの詰まったような展開ともなり、ぎこちない関係で描かれて行きますが、次男の雄二が実家に戻って来てから、物語が動き始めます。

・また、稲村家の人とは違いながらも、タクシー運転手として、堂下というバツイチのキャラクターも出てきます。

・これらのキャラクターがタクシー会社という場所を中心に、過去の事件の傷跡と、今起こり得ている問題が交錯し、稲村家の家族のあり方が描かれていきます。

・15年の時間を経て、再び子どもたちの前に姿を現した母親は、やはり、子供のことを想っていますが、子どもたちからすれば、それまでの曲がってしまった人生をもとに戻したのに、再びそれが蒸し返らせてしまうツラさがあります。

・「これでもお母さんは立派か?立派なのか?」

・「デラべっぴんな。」このイントネーションの違いをいうところは、ちょっと面白かった。

・中盤以降、母親が子どもたちのことをどう思ってきたかが、見え隠れしますが、誰もが不器用なところもあり、うまく歯車が噛み合わないようなところにもなります。

・長女の園子がその苦労を一番我慢しながら、生きていくことに前向きにならずとも、後ろ向きなところは見せず、振る舞う姿が印象的ではあります。

・子どもたちはもう成人もして、いい大人ではある以上、それぞれの思いやつらみがありますが、その思いの噛み合わなさは、この映画のポイントにもなります。

・大きく関わってこなかった堂下も、終盤とある事件で、変貌をしていく様は印象的で、母親にしても、その「子供を持つものの気持ち」というところにメッセージがあります。

・佐藤健のドロップキックは結構スゴイなぁとも思えるところがあり、こういうぶつかり方というところがなければ、噛み合わない歯車のまま過ぎていく日々だったのかもしれません。

・最終的には、何かしら心に刻まれたそれぞれの思いがあり、壊れてしまった家族のあり方としての一つの道としての答えがあるような気がします。

・多数のキャラクターがそれぞれ個性的でもあり、群像劇のスタイルの印象もありますが、テーマは多少重いところがあるので、精神的に健康なときに見るのが良いかと思います。

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