作品紹介
【監督】高山文彦
【声の出演】浪川大輔/辻谷耕史/秋元羊介/島田敏/島香裕/林原めぐみ
【個人的評価】★★★★★
【あらすじ】宇宙世紀0079年のサイド6コロニーに住む小学生 アルフレッド・イズルハが主人公。ある日コロニーでジオン軍兵士 バーナード・ワイズマンと出会う。彼は、新型ガンダムを破壊するために中立コロニーに潜入したサイクロプス隊の新米兵士だった。
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主人公の目線と、それ以外の目線を考えて語られるの物語は、とても素晴らしい脚本
機動戦士ガンダムの番外編的な物語で、初代ガンダムでの物語末期の裏舞台を描いた作品。
オリジナルビデオアニメとして、全6巻の内容です。
当時は、全6巻購入者の特典として「ALL THAT GUNDAM」というビデオがもらえました。
後に様々な媒体で観られるようになりましたが、当時はレアな映像でした。
脚本は、「オネアミスの翼 王立宇宙軍」の監督の山賀博之で、現在はガイナックスの社長となっています。
物語は、ガンダムシリーズには非常に珍しく、「非戦闘員の小学生」が主人公となっています。
そのため、物語自体も、戦争やモビルスーツ戦を主体としていなく、子供の目から見た戦争体験という視点となっています。
戦闘シーンは少ないのですが、非常に素晴らしい戦闘シーンが多く、第一話のハイゴックの北極基地襲撃シーンの戦闘からして素晴らしい動きをしています。
物語の中心となる新型ガンダムは、ニュータイプ専用ガンダムとして、ガンダムの本筋の主人公アムロ・レイの専用機となる設定です。
ただし、本筋のガンダムのキャラクターは登場せず、あくまでサイドストーリーとしているところで、本筋のガンダムとの矛盾を極力排除しています。
中立コロニーに住む小学生のアルは、戦争というものをテレビや映像でなく、実体験することで、戦争の理不尽さを徐々に理解していくところが秀逸です。
善悪ということを極力描かなかった初代ガンダムと同様、地球連邦軍とジオン軍の見方もちょっと異なり、アルはジオン軍に関心を持つところも、興味深いところです。
中盤で登場する新型モビルスーツ ケンプファーのネーミングにはちょっとミッシングリンクとなるくらいに、設定が飛躍してるところは、個人的にはちょっと残念なところです。(※ケンプファーとはドイツ語で「闘士」という意味があり、他のモビルスーツと比べると意味をもたせ過ぎています。)
それでも、使用武器としては、全て実弾兵器というところは、このモビルスーツの人気となるところでもあります。
新型ガンダム自体も、ガトリングガンという武器を装備している程度で、ビーム兵器は極力使用していないところは良いです。
チョバムアーマーという設定で、外装を防御しながらも、機密を守る要素も良く、ガンダムの姿が登場するのは後半からとなっています。
ロボットアニメとしては、メカ要素も極力抑えられているからこそ、少ない戦闘シーンだけで強烈な印象を残すことにもなっています。
終盤の2話がこの物語の真骨頂であり、ガンダムシリーズの歴史の中でも、屈指の展開だと思います。
最後のメッセージと、新学期のシーンで泣かないはずがないほどのこみ上げるものがあり、結末を知っていたとしても、何度も泣けるシーンだと思います。
ロボットアニメとして、メカや戦闘で人気となる作品は多いですが、しっかりとした物語と、主人公の目線と、それ以外の目線を考えて語られるの物語は、とても素晴らしい脚本であります。
初代ガンダムとセット観るほうが予備知識が得られるのでよいですが、単体でも全然理解のできる作品として名作です。
予告編
なお、名作として揺るぎないのですが、「色々細かくみる機動戦士ガンダム0080」の小ネタ的情報です。(※これだけ、粗さがあっても、ほぼ気にならないところと、それがあったとしても、作品の伝えたいことは何もマイナスに感じないところがすごいですね。作画ミスや辻褄が合わないことなんて、作品の主題にはさほど関係ないのがよくわかります。)
・「シュタイナーは、作戦中はタバコを吸わないので、1シーン以外はタバコに火をつけていない」(第1話・第2話・第3話・第4話)
・「自動販売機のサイズ感が、子供でも大人でもないサイズ」(第1話)
・「3人家族なのに異常に広いクリスの家」(第1話・第3話)
・「クリスが引っ越しの荷物を運ぶのに、なぜか、敷地外に車を止めている」(第1話)
・「何も調理器具のないアルの家のキッチン」(第1話・第2話)
・「アルの部屋のドアの開きがシーンにより左開きと右開きと入れ替わる(多分、リフォーム中なのかと。)」(第1話・第2話・第5話)
・「マメに張り替えをしてイメチェンしてるアルの部屋のドアのポスター」(第1話・第3話・第5話)
・「アルの部屋のドアの横のポスターを一瞬で何度も貼ったり剥がされたりしている」(第1話・第2話・第5話)
・「アルの部屋の収納ベッドの壁面ボードのサイズは日によって変わる」(第1話・第2話・第6話)
・「不思議な道路の車線とやたらと幅の狭い横断歩道」(第3話)
・「鉄製から木製に植え替えをしたクリスとアルの家の間の柵」(第1話・第3話)
・「ティーポットを使ってコーヒーを淹れてしまうクリスの母親(多分、認知症な気がする)」(第3話)
・「来客を気にした母親に寝ているように気を使ったクリスの妙な感と、帰り際のバーニィを見るクリスの両親(※寝ていたのは母親だけじゃなかった。)」(第3話)
・「駐車スペースをはみ出して駐車してしまうミーシャ」(第4話)
・「人間を捨てられそうなくらいに巨大な公園のゴミ箱らしきもの」(第4話)
・「季節感設定を感じないクリスマス時期のアルの半袖半ズボン」(第4話)
・「ポルトガル人のための表記をしている連邦軍基地のCONTROLE CENTER」(第4話)
・「ノーマルスールの胸のワッペンを付け替えておしゃれを楽しむクリス」(第3話・第4話・第6話)
・「なんとなく意味深さを感じる、バーニィとクリスの着ているシャツ(絶妙に左右の合わせが男物と女物で異なるので、別物とは思いますが。)」(第5話)
・「間違えた看板を発注したけど、予算上、そのままXmas FARの看板を使ったWonder land,co.」(第5話)
・「Mary Xmasの窓看板を多数出しているWonder land,co.」(第5話)
・「KAMI-IGSA(上井草)行きのシャトルがある」(第5話)
・「UKRAINA(ウクライナ)行きのシャトルがある」(第5話)
・「FIRST CLASSとは異なる、FIST CLASSがシャトルにある」(第5話)
・「アルの家のキッチンの冷蔵庫のサイズが異常にデカイ」(第5話)
・「右腕の500発の弾丸の残数ですが、画面表示では400」(第6話)
・「ATACK PROGRAMという特殊単語表記をするアレックス」(第6話)
・「STRAWBERY JAMという、印刷ミスラベルを売るしかなかったJAMメーカー」(第6話)
・「父親と同居し直したので、新調した電子レンジ」(第6話)
・「父親と同居し直したので、新調したちょっと細長デザインにした傘置きのツボ」(第3話・第6話)
・「父親と同居し直したので、置くのをやめた玄関右側の鏡」(第3話・第6話)
・「まるで未開の地にいる原住民のような上半身ハダカで槍を持っている生徒」(第6話)