【洋画】「ナイトクローラー〔2014〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【出演】/レネ・ルッソ//ビル・パクストン
【個人的評価】

【あらすじ】主人公ルイスは、学歴も低く人脈も薄い無職。ある日事故現場に遭遇し、そこで衝撃的映像をマスコミに売るナイトクローラーを見る。ルイスは機材を買いナイトクローラーとして映像を撮ることを始める。

あまり心地よい締めくくりではないですが、不謹慎ながら、個人的には興味深く観られた作品

ダン・ギルロイ監督は、脚本家としてボーンレガシー」等を執筆しており、本作は初監督作品。

ジェイク・ジレンホールは、数々の作品に出演し、『ブロークバック・マウンテン』で高い評価を得ています。

第87回アカデミー賞脚本賞にノミネートされたサスペンス。

本編はどことなしか1980年代っぽくもあり、夜中のシーンも多く、映画「タクシードライバー」っぽい印象もあります。

本作は行き過ぎた報道に関してのメッセージ性がありますが、それとともに、主人公ルイスの異常性も含まれています。

軽犯罪程度であれば、あまり気にしなかったルイスですが、パパラッチを仕事とすると、その仕事の内容と報酬とマスコミの要求に徐々に破綻するところが、見事。

当初は機材の選び方からも素人的なところもあり、どこかのHowTo映画的要素も感じられます。

機材を徐々に揃えていき、本気さが高まっていくところは、パパラッチの実情を知らない側からみるとやはり面白いです。

なお、主人公の視野の狭さからの知識のひけらかしと、あまり良いイメージを持たない主人公像ではあります。

ジェイク・ジレンホールの容姿も特徴的で、ギョロっとした目と挙動と視野の狭さには多少幼稚さを感じます。

しかしながら、この風貌こそが大きな魅力でもあり、ルイスの役どころを考えると、ハマり役だと思います。

これだけの挙動の怪しさやどこかの焦点が先を見ているような目の泳ぎ様が段々とクセになる要素もあり、このキャラクター性で序盤は引っ張れます。

中盤から、徐々にナイトクローラーの仕事が板についてきて、さらに発想や行動が輪をかけてサイコになってきます。

このサイコっぷりが中盤以降炸裂し始め、序盤から中盤まで隙のない展開になります。

不法侵入や遺体の移動も行うようになり、報道ということから、逸脱し始めます。

共同者も現れ始めますが、特に組織的なことを拒み、ライバルすらも蹴落とすようになったり、マスコミの女性に関係を持ちかけるなどなど、エスカレートしていくクズさ加減にはがっかりもしますが、ルイスはもともとそういう人物だったわけなので、そこにヒーロー像なぞありません。

終盤は警察に、行き過ぎたパパラッチの行為に違法性を感じ、尋問をしますが、平気で嘘の供述をするルイスはすでに破綻した精神しかなかったのかもしれません。

何も秀でたところのなかった主人公が世間の注目する話題を提供する側になったときに、自分自身の影響力を誤解したことで生じる狂気が込められつつ、報道ということについてメッセージを投げかけている作品です。

あまり心地よい締めくくりではないですが、不謹慎ながら、個人的には興味深く観られた作品ではあります。

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