【監督】
【出演】/ジゼル・パーマー/テイラー・カッスル/テア・カーラ・ショット
【個人的評価】

【あらすじ】1996年、人里離れた建物にダンサーが22人集まりアメリカ公演のリハーサルを行い、その後、打ち上げパーティとなりますが、そこに用意されたサングリアの中に何者かがLSDを混ぜていた。

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野心的な演出と作家性は個人的に注目したい監督

監督は、1985年短編映画『Tintarella di luna』で監督デビューをし、1991年『カルネ』でカンヌ国際映画祭の批評家週間賞を受賞し、一躍有名となります。その後、観客を挑発するような問題作を数々と作るフランス映画界の鬼才と呼ばれています。

は、新体操のフランス代表チームに所属していたこともあるダンサーでもあり、女優でもあります。テレビやCMにも出演しており、多彩な才能のある女優です。

・物語は、ダンスのリハーサルが行われたあとの打ち上げパーティで、用意されたサングリアにLSDが混ぜられていたことで、そこにいたダンサーたちが徐々に精神的に崩壊していくさまを描いたストーリーです。

・いきなりエンドロールかのようにスタッフロールが流れる奇をてらった演出ではありますが、翌々考えなくとも、監督がギャスパー・ノエなので、この程度で驚きを受けてしまっているのであれば、本作を観るのをおすすめしません。

・序盤は登場人物のインタビューのような演出となっていますが、登場している役者は、全員演技未経験のダンサーというところになります。

・ですので、ダンスシーンの華麗な点はきちんとダンスが踊れる人たちが集まっているからであります。

・序盤のインタビュー後から、本編へと移っていきますが、まずは多人数でのダンスシーンとなり、そこから約14分にもおよびワンカットで状況が描かれます。

・もともと登場している人物全員がダンサーというところでもあり、関節がどうなっているのかわからないほどのダンスが觀られます。

・このダンスとミュージックが妙にトリップ感を誘うところもあり、徐々にこの空間の空気感に取り込まれていきます。

・このはじめのダンスはリハーサルという設定であり、ダンスの振り付けもあらかじめ決められていた形となっていますが、ワンカットでの演出にはその場所に「居る」という臨場感も同時に与えてくれます。

・ですので、ギャスパー・ノエ作品の多くで、「ワンカットのような映像」はこの没入感を含めた世界への入り口のようにも思えます。

・中盤で、クレジットが登場するのも、奇抜な構成なのでしょう。とはいえ、演出という意味での魅せ方では、「エンター・ザ・ボイド」のときのほうが鮮烈だったようにも思います。

・明確に前半と後半がわかるので、このタイミングで、物語の展開が理解しやすくもなります。

・サングリアにLSDが混ぜられているというところが徐々に現れてきますが、このLSDというのはあまり説明がありませんが、「幻覚剤」ということであり、日本をはじめ、多くの国で規制対象となる薬物となります。

・パニック反応やフラッシュバックを引き起こすこともあり、致死量は不明ながらも、非常に危険な薬物となっています。

・現在は、治療薬としての使用が研究されています。

・部屋のどこかから聞こえてくる叫び声や、セルヴァの狂気にとらわれたような行動で、異常さがとても感じられます。

・小さな子どもがいたということで、子供を狂乱の状態から守るために、電気室に匿いますが、これもこれで、逆効果なところでもあります。

・終盤間近で、とある演出がありますが、天地を利用した演出というのは、いままでになかった要素かもしれません。

・観ているうちに「アレックス」を思い出してしまうような画面展開となりますが、これもこれで、ギャスパー・ノエ節ともいえ、このギリギリするような感覚が必要なのかと思います。

・「生きることは集団的不可能性」

・「死は特異な体験」

・結局、「LSDを混入させたのは誰か?」というところに行き着きますが、明確に誰が行ったのかは描かれています。よく観ていればしっかりと説明されています。

・思っている以上に凄惨な顛末とはなりませんが、やはり精神的にザクザクと刺さってくる演出は、ギャスパー・ノエ作品で味わえるところではあります。

・万人におすすめする作品ではありませんが、野心的な演出と作家性は個人的に注目したい監督ではあります。

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