【日本映画】「長いお別れ〔2019〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【原作】『長いお別れ』
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】アルツハイマー型認知症となってしまった父親が、徐々に父や夫でもなくなっていく、家族を描いた作品。

長いお別れ

泣ける要素の強い感動作であり、自分の両親に置き換えてみることで、大事な何かを再度見直すことのできる名作

・中野量太監督は、映画製作を学び、2012年、に長編映画『チチを撮りに』でデビューしています。

・主演の蒼井優は、2001年に『リリイ・シュシュのすべて』で映画に初出演し、その後、主に映画を主軸に役者をしています。

・物語は、アルツハイマー型認知症となっている父親を中心に娘と母親の家族のストーリーです。

・序盤は、四人家族の現在の状況と、巣立っていった娘たちのいない実家の内容となり、まずは状況説明のような展開となっています。

・この時点ですでに認知症の気配があり、この後続く物語の布石として、しっかりと内容が分かりやすく作られています。

・2009年という設定なので、しっかりとiPhone 4のようなスマートフォンを使っているシーンがあります。

・その後日本に住んでいる三人と、アメリカに住んでいる娘との関係も描かれ、介護とまで行かずとも、残された老夫婦の生活と娘たちの状況が描かれ、その中心に父親がいるという図式でわかりやすい展開となっています。

・中盤から、いよいよ認知症が激しくなり、様々な問題やトラブルが発生し始めます。

・東日本大震災や母親の病気も描かれ、アメリカでは、娘家族の家庭環境も掘り出されます。

・ここで父親からは孫にあたる、娘家族の息子の話も出てくることで、さまざまな家族問題と、少子高齢化の社会問題も見え隠れする内容で、ただ単に認知症の問題だけを提示した物語とは異なるような展開が見られます。

・その中でも、娘と父親の対話ではしんみりするところもあり、忘れていってしまう記憶の断片にはやはり家族の記憶がまだ刻まれていることに涙するシーンも出てきます。

・娘たちのうまくいかないと生活を背景に、認知症と戦う父親の物語が描かれ、カタルシスを感じてしまうような点も見られます。

・終盤は、もういろいろなことを覚えていない父親の悲しさが、娘を含む家族の間に生まれますが、孫とのビデオ通話で微かに残る記憶で反応を示すところには、涙してしまうところもあります。

・悲しさが溢れている内容となってしまいますが、認知症とは、徐々に様々な状況と別れを始めてしまっている 「長いお別れ」という題名の意味をしっかりと噛み締めることができます。

・7年にわたる四人家族の物語を丁寧に描きつつも、孫である娘家族の息子が、父親の書いた文字を大事にしまっているところに、その時にはもういない父親の影を感じることができ、序盤で丁寧な物語を描いていることと反して、細かい説明を省いた演出に、行間を読ませるような余韻の残る丁寧な作りとなっています。

・役者として我の強そうな姉妹の印象がありますが、竹内結子と蒼井優の姉妹というところにはベストマッチな配役でもあるように思います。

・父親を演じたの演技力も、演技を超越したような印象があり、彼以外にこの役はできないような印象も得ます。

・泣ける要素の強い感動作であり、自分の両親に置き換えてみることで、大事な何かを再度見直すことのできる名作です。

長いお別れ (文春文庫)

 

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長いお別れ [Blu-ray]

 

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キッドの運命

 

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映画「長いお別れ」オリジナル・サウンドトラック(特典なし)

 

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ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)

 

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