【日本映画】「斬、〔2018〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【出演】/中村達也/前田隆成/塚本晋也
【個人的評価】

【あらすじ】江戸時代末期の農村を舞台にした物語。主人公 都筑杢之進は武士でありながらも農村に身を寄せて、、農家の手助けをしながら、剣術を磨く浪人だった。ある日剣豪の澤村と出会い、江戸へ向かい京都の動乱の泰平のために誘いを受ける。

真剣を目の前にして、「君ならどうするのか?」と問いかけてくる作品

塚本晋也監督は、自ら製作・監督・脚本・撮影・美術・編集・出演を兼ねる自主制作スタイルを貫いている監督です。1989年の「鉄男」で、ローマ国際ファンタスティック映画祭のグランプリを受賞して以来独特の演出と作風で知られる監督です。

主演の池松壮亮は、「ラストサムライ」での出演から、子役として活躍し、現在では多数の作品で印象的な演技で定評のある役者です。

本作は、塚本晋也監督が長年「一本の刀を過剰に見つめる若い浪人」というイメージから本作の制作に取り組んでおり、第75回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品している作品でもあります。

80分という時間の映画ではありますが、物語の密度が高く、胸に刺さるメッセージ性があります。

主人公の杢之進は、剣術を磨くも、実際には人を斬ったことのない浪人。ある日、野浪が村近くに訪れたことで、不穏な空気が流れます。

村人が売られた喧嘩をかってしまい、被害に遭いますが、「報復をすれば、また報復される」という考えで、杢之進は刀を抜こうとはしないのですが、とある事件に巻き込まれます。

澤村は、杢之進の力を見抜いていますが、人を斬ることに躊躇する様子に覚悟を問います。

江戸時代末期の時代劇ではありますが、、動乱や乱世とは縁遠い内容で、どちらかといえば、七人の侍のように、村を守るという要素が出てきます。そのためには、戦う必要も出てくるのですが、人を斬る覚悟が希薄なところが出てきます。やるべきことのある道を選んだ人が、その道に苦悩するのがテーマに思えますが、これは現代にも通じるような印象があります。

文句や意見を発するけれど、実際に自らが物事を変えようとすることをしない。確かに人を殺めることとは、大きな違いがありますが、自らが選んだ使命を目の前にして躊躇し苦悩する様は時代は変われど同じことに思います。

蒼井優演じる農村の娘は、言葉遣いが時代劇風ではないのですが、この部分からも、時代劇を描いているのではなく、人間としての覚悟を問うテーマがあるのだからと思います。

殺陣シーンはリアリズムのある演出で、かなり過激ではありますが、生と死を境にした覚悟、という点では非常に優れた見せ方ではあります。

終盤は、そのテーマを抱えながら、観ている人に判断を委ねる要素がありますが、答えが出せないところも事実。

真剣を目の前にして、「君ならどうするのか?」と問いかけてくる作品です。

斬、

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