【日本映画】「来る〔2018〕」を観ての感想・レビュー

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【あらすじ】オカルトライター 野崎、結婚してから不可解なことが起こる 田原秀樹とその嫁 香奈の3人と、霊媒師の姉妹が正体不明の訪問者の霊体を相手に除霊をするストーリー。

来る DVD通常版

怖さよりも得体のしれない何かという怖さと、人間の二面性を見てもらいたい映画

・原作は、澤村伊智著作の「ぼぎわんが、来る」。

・中島哲也監督の4年ぶりの新作映画。

・プロモーションビデオやCMで注目され、映画「下妻物語」で脚光を浴び、以降制作する映画は、毎回注目されている。

・注目される理由としては、とにかく痛々しい演出と鋭い視点が優れており、過去の作品からしても、非常に辛辣さのある映画が多いので、不快になる要素も含まれている点がある。

・不快になる要素がありますが、どこか興味を抱かせ、そして没頭できる作品が多い。

・中島監督の演出方法も、かなり辛く胃が痛くなるような空気感のある撮影現場となっており、多数の役者が泣かされているらしい。

・そこまで真摯の映画に取り組んでいるだけあり、本作の突き詰め方も、普通の映画とは異なります。

・大きく分けて3つの章仕立ての展開であり、都度、中心に置かれる人物が異なります。

・「新しく子供が生まれる父」「育児に疲れてしまっている母」「オカルト記事を追い続ける記者」の3人が入れ替わり、主人公となっていきます。

・結局「何が」来るのかは明確になりませんが、この得体も知れない感の描き方は巧く、興味を抱かせる作りになっています。

・序盤は日常生活を含めた物語ですが、些細な意見のすれ違い程度にしか物語の全容が見えず、この手法は巧いとは思います。

・ただし、ホラー映画を期待していると肩透かしは喰らいます。そもそも、ホラー要素はありますが、怖さを訴える映画ではなく、また、怖さを強調する演出ではないからです。

・序盤の夫婦の物語は、荒んでいく部屋の状況にむしろ恐怖感が湧き、また、母親の言動に恐ろしさを感じてしまいます。

・中盤までは、一般的な生活感ホラーな感じではありますが、この映画の見所は、終盤の対決の舞台。

・日本最強の霊媒師を演じる松たか子が、非常に素晴らしく、目的の達成のために手段を選ばないところがとてもグイグイきます。

・そして、その対決場所の設置と準備の尋常さも良く、各地から移動してきている霊媒師が「やつにやられた、これからは各自で行動する」と、「やつ」に対しての強大さと、恐ろしさが暗に描かれています。

・後に、カプセルホテルで、装具を身に着けて集まっているシーンにはちょっとした笑いの要素もありますが、これはこれで、よく考えられた物語です。

・結果的に姿を見ることのない「やつ」ですが、その強靭さと恐ろしさは、間接的に伝わるところがあり、多数集まった霊媒師の屍の山を見ることで想像がつきます。

・日本最強の霊媒師 比嘉琴子(松たか子)の霊媒師っぷりがとてつもなく気持ちよく、こんな霊媒師は以内にしても、非常に頼もしさを感じるところはあります。

・また、妹の比嘉真琴は、「小松菜奈」が演じており、メイクと風貌で一見誰だか見分けがつかなかったところはありますが、喋り方はいつもの小松菜奈なところが残念ではあります。

・最終的に生き残った人がいて、消えていったり、死んでしまった人が出てきますが、この結末についての明確な答えがなく、見終わったあとのモヤモヤ感は否定できません。

・とはいえ、これだけの配役にも関わらず、しっかりとした物語と得体のしれなさ加減は、類を見ない映画かと思います。

・怖さよりも得体のしれない何かという怖さと、人間の二面性を見てもらいたい映画です。


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