【日本映画】「孤狼の血〔2018〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【原作】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】1988年の広島が舞台。暴力団対策法成立以前の暴力団系列の金融会社社員の失踪事件を追う刑事と、暴力団組織間の抗争の中で、現場の叩き上げマル暴のベテラン刑事・大上と、エリート新人刑事・日岡の描く人間模様の映画。

孤狼の血

濃密で、かつあっと言う間に過ぎ去ってしまうくらい物語に引き込まれることは間違いないです

・柚月裕子原作の小説の映画化。

・監督は「ロストパラダイス・イン・トーキョー」「凶悪」「日本で一番悪い奴ら」の白石和彌監督。2019年1月現在では、テレビ東京系列「フルーツ宅配便」の監督もしています。

・原作の柚月裕子は「仁義なき戦い」「県警対組織暴力」のファンでもあり、両作品の舞台が広島ということとリアリティをもたせるために広島を舞台としています。ですが、決して広島がそこまで怖い地域ではありません。あくまで創作です。

・現場の叩き上げ刑事とエリート新人のコンビと言うのはありがちな刑事モノですが、基本的には役所広司演じるベテラン刑事は、単独行動が多い。

・役所広司がとにかく強烈である。ヤクザと警察組織の間で、手段を選ばない捜査を行っていく。これはもう、仕事ではなく、「俺が法律」的な無茶があります。役所広司の広島弁とサングラスとひげの風貌でとても60歳を超えた人には見えません。

・対する松坂桃李演じるエリート新人刑事も信念があり、無茶な捜査方法に反対をしながらも、徐々に先輩の信念に気が付き始める。

・この2人の行動がメインとなりますが、更に、2つの暴力団組織などが絡んできます。

・登場人物が多いのですが、常に「1対多数」のシーンがあり、意外と人物相関は予備知識がなくても理解できる作りは秀逸。

・特に2つの暴力団組織の若頭が「」と「」という人選がよく、このあたりはキャスティングの勝利です。

・「警察じゃきぃ何してもええんじゃ」

・「じゃあ聞くがの、正義とはなんじゃあ」

・大上(役所広司)の捜査信念にはギリギリの価値観があり、後半にはその理由と大上の凄まじさがわかるようになります。

・途中退場してしてしまう大上ですが、この展開も見事。しっかりともうひとりの主人公 日岡 にバトンが渡ります。

・暴力的なシーンが多いのですが、そこがこの映画の見どころの一つでもあります。とにかくコンプライアンスなどない捜査方法の裏には、カタギを守るためという大上の信念があります。

・また、暴力団組織も非情な手段を取ります。特に養豚場での拷問は、暴力的なことに免疫がない人にはあまりオススメができないです。

・ちなみに、現実にイタリアのマフィアのボスが養豚場で生きたまま豚のエサとされる事件がありましたが、そこまで酷くはないものの、やはりキツイです。

・登場人物の目が全員ギラギラしている映画も最近では珍しく、かなり踏み込んだ演出はやはり監督の手腕が良かったのだと思います。

・監督の昔の作品(とは言っても本作の2年くらい前)の「日本で一番悪い奴ら」での評価もあって、本作で見事な作品に仕上がったのだと思います。まさしくこの数年でものすごく多作で評価の高い作品を送り出しています。

・小説が「凶犬の眼」がシリーズの続編としてありますが、松坂桃李演じるエリートはなぜか駐在所勤務となっていますので、出世の道はないのだと思いますが、完結まで追い続けたい作品かもしれません。

・125分という時間ながら濃密で、かつあっと言う間に過ぎ去ってしまうくらい物語に引き込まれることは間違いないです。


凶犬の眼 「孤狼の血」シリーズ (角川書店単行本)

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