【日本映画】「二十六夜待ち〔2017〕」を観ての感想・レビュー

【監督】越川道夫
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 由実は、震災による津波で被災をし、叔母の工務店に身を寄せていた。心に傷を負いながらも、被災から立ち直るため、小料理屋で働くこととなる。店主の杉谷は記憶を失った料理人だった。

二十六夜待ち

将来になにかあるわけでもなく、お互いの運命をゆっくりと受け止めるようなそんな二十六夜待ちな気がします

・二十六夜待ちとは、陰暦1月と7月の26日の夜に、月待ちをすることである。江戸時代に高輪から品川あたりで行われた行事。

・月光の中に、弥陀・観音・勢至の三尊が現れると言われる。

・記憶をなくしてしまった男性と、記憶をなくしてしまいたい女性の物語。

・小料理屋の店主役である井浦新は言葉数の少ない無口な料理人ですが、ピッタリとハマっている。

・この小料理屋は一人で切り盛りしているようで、自宅はこの料理屋の2階でもある。店主の生活をついつい考えてしまい、なんとなく寂しい感じでもある。

・そんなところから、恋愛に落ちるのですが、ラブシーンの必然性はあまり見いだせない気もします。

・小料理屋「杉谷」の暮らしを考えてみると、カウンターが5席程度、座敷が3席で合計17名ほどが定員。昼の定食が800円として昼に
20,000円くらい。夜の食事でもおおよそ40.000~80,000円くらいと考えると、1日100,000円。月の売上は3,000,000円となる。飲食店の原価率は基本的に30%と考えると、1,800,000円の月収となるのですが、休業日や客の入りを考えるても、80万円の月収となると思われ、ここまで質素な生活となるのもちょっと疑問。

・そんなこともよりも、物語ですが、店主の記憶喪失の魅力でどこまで描くのがが興味のポイント。

・2階の部屋の家具や調度品を見ているとなんとなく不安にも思えますが、こういう男性に惹かれるのでしょうか。母性をくすぐるようなところはズルいようにも思います。

・料理人としての包丁さばきも寡黙でいかにも職人であり、特にふぐをさばくところは、グロいながらもかっこよさだけが残ります。

・「したいようにして」と言われるまでの動機がよくわからないところもありますが、なにかを忘れたいだけだったのか、それとも、愛情があったのかはわからないです。このあたりの女心の描き方は理由が不明瞭ながら、要所要所で、布石がしっかりとあるように思いますが、観る人に委ねられている気もします。

・2人が見上げる月が何度か出てきますが、まさにお互い何かを待っているのでしょう。将来になにかあるわけでもなく、お互いの運命をゆっくりと受け止めるようなそんな二十六夜待ちな気がします。


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